『寂しい生活』を読みました

BOOK

市の図書館で電子書籍の貸出も始まりました。

どんな本があるのかなぁと、ページをスクロールしていて、見つけたのがこの本です。

予想外の内容

『寂しい生活』というタイトルと、白い表紙に一本の黒い線で描かれたシンプルなイラスト。

おしゃれでコミカルなシンプルライフって感じかな?と、なんとなーく興味をひかれて、電子書籍の手軽さで、サッと借りて、なんの事前情報も無しに読み始めました。

そんな、ひょんな感じで出合って、読み始めた本ですが、硬派な内容もあり、考えさせられることも多くありました。

この本の表紙に描かれたアフロヘアーの女性は、著者の稲垣えみ子さんをモデルにしていることがわかりました。

その生活ぶりは、『情熱大陸』などでも紹介されたそうです。

同じ時代を生きている

著者の稲垣さんは、東日本大震災、個人的脱原発、電気を使わない生活を始めます。

供給される電気の半分を原発に頼っているなら、使用量を半分にしようというところから始まります。

ところが、節電レベルではほぼ使用量が変わらないことを1ヶ月で思い知り、「電気はないもの」として暮らすことにしたのです。

すごい!

夜に帰宅しても明かりをつけない、エアコンも使わない、冷蔵庫も手放す。

最終的には、電気代150円。

これは、昔の人の話でもなく、別の国に住む人の話でも、特別な訓練を受けた人の話でもなく、私と同世代、中でもそれまで豊かな暮らしを享受してきた女性の話です。

同じ時代を生きている者として、あって当たり前のもの、無かったら困ると思っているものを、自らの意思で次々と手放していく様子に、衝撃を受けました。

それでもコミカルでおしゃれ

やっていらっしゃること、おっしゃっていることは、極端で硬派なのですが、どこかのほほんと楽しげにすら感じます。

寒いのは苦手で、寝る時にも暖房器具が使えないとなると、「人生の様々な荒波の中でも最大の不幸のビッグウェーブではなかろうか。」と嘆く場面など、本当にそうよ、大丈夫ー?と身近な人のように心配になります。

電気は無いものとして暮らしている最中に、転勤先の東京で「リッチなシティライフを楽しめそうなマンション!」と浮かれて引っ越してから、オール電化だと気づいたりもします。

そして、今のお住まいとして、雑誌で紹介されていたお部屋は、ひと言で言うと、おしゃれ。

お部屋を無機質にしがちな家電が無い、ということもあるのかもしれませんが、モノの選び方にセンスがあってとても素敵なのです。

電気を使わないからといって、悲壮感のある生活をしているわけではありません。

無くして見えてくるもの

家電を無くすたびに見えてくるものを、稲垣さんは実体験で語っていらっしゃいます。

わずかながら、私にも思い当たることがあります。

ひとつめはテレビです。

無くしたわけではありませんが、消す時間を増やしました。

読書の時間が無いのが悩みでしたが、テレビを消したら、静かに本を読む時間ができました。

日常的にテレビを観る生活をやめたら、観たい番組は限られてきます。

時間が無かったわけではなくて、無意識にテレビを観ることで浪費していたことに、長い間、気づいていなかったのだなぁと思いました。

もうひとつは、炊飯器です。

ずっと必需品だ、便利だと思い込んでいましたが、今は持っていません。

初めて鍋でご飯を炊いてみたら、意外に簡単に炊けることに驚きました。

とはいえ、失敗なく自分の好みに炊けるまでには、半年や1年はかかります。

ビックリするほど高額な炊飯器も出ていますが、今は全く欲しいとは思いません。

鍋ひとつあれば、おいしいご飯が炊けるという自信があるからです。

おもしろくて、考えさせられる本でした。

またいつか、読み返したいと思います。

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