この本を読んだきっかけは、タサン志麻さんと夫のロマンさんの日常や、歩んできた道のりを紹介した『ふたりのディスタンス』(NHK)という番組を観たことです。
今や「伝説の家政婦」としてメディアでも大活躍の志麻さんですが、かつてはフランス料理にのめり込み、学び、老舗フレンチレストランなどで勤務するも挫折、という経験をされたそうです。
その頃、飲食店のバイト仲間としてフランス人のロマンさんと出会い、結婚。
家族が一番大切だと言うロマンさん。
行動にブレがありません。
かわいい猫二匹も一緒に暮らしています。
(ここが重要!笑。急に親近感を感じました。)
疲れない簡単さが、日々食べるごはんには必要。
「食べる」を大切にする。
「作る」はもっとラクでいい。
フランス人の料理は質素で、手間をかけない。食事そのものよりも食事の時間を楽しんでいて、志麻さんはその光景をとてもぜいたくに感じたそうです。
毎日のごはん作りを、大変で苦痛なことではなくて、気負わずラクにしましょう、そして、食べることを楽しみましょうと言うのです。
レシピから自由になって自分の味を見つける
新しい料理に挑戦する時、レシピを参考にしますが、同じようにできていないーと焦ることがあります。
志麻さんは家政婦の経験から、調理器具も鍋も調味料も違うので、レシピの提示するグラムや加熱時間、火加減で作っても同じ仕上がりにならないのは自然なことだと書かれています。
レシピは、手順や味の方向性の目安として参考にするもの。
そう言われてみれば、レシピを見ずに作れる料理を作るときは、料理の工程の意味を理解しているし、自分の五感を働かせて調味や火の通り具合を見極めながら作っています。
そしてなにより、楽。
そういう自分のレシピを拡げていけるといいですよね。
そう!塩!
もうひとつ、そうそう!となったのが、塩に関してです。
「フレンチは基本的に塩だけで味を決めます。複雑な組み合わせのバランスに悩むことなくおいしくできるところが、フレンチってラクだなと私が思うゆえんです。」と書かれています。
私はフランス料理について全く詳しくないのですが、なるほどーと深く納得しました。
以前の私なら、え?塩だけで?味の深みがなさそう、と軽率にも思ったかもしれません。
最近まで、味付けに塩ってあまり使わないなぁなんて思っていたからです。
ところが今ではまず塩、最後の調整も塩、というくらい塩を基本にするようになりました。
醤油、味噌、みりん、酒、砂糖、酢など基本の調味料を駆使しても、それこそ志麻さんのおっしゃるとおり、複雑な組み合わせのバランスが取れなくて味が迷宮入りすることがあります。
オリーブオイル、ごま油、バターなどを追加したり、鶏がらスープの粉末や液体だしを入れても、これでいいの????という時です。
こんな時は塩を効かせることで、たいていの場合は解決することに、最近ようやく気がついたところだったのです。
塩の役割
塩は素材のうまみを引き出します。
志麻さんはこの本の中で、肉に関して「塩が入ることで肉を認識できると言っても過言では無い。」と言っています。
たとえ後から煮込む料理でも、下味にしっかりめに塩をふる方が、煮込むスープの中に塩を加えるよりもおいしく感じるそうです。
メインの食材の塩分が弱いと、なんとなくぼやけた味になってしまう、と。
心当たりがあり過ぎます、笑。
よーし、おいしい料理を作ろう!!笑
この本では、ふだん志麻さんがレシピには書ききれないこと、料理を楽にするいろんなポイントやコツが紹介されています。
料理を作るのが楽しくなる本でした。
気になる方は、ぜひ読んでみてください。